『人生がときめく片づけの魔法』 近藤麻理恵著 サンマーク出版
とても若い女性が書いた片付けの本です。
若い女性らしく、キーワードは”ときめき”。
若い女性が“ときめき”なんて言葉を発しますと、なんだかとっても軽い感じがしてしまうと言いますか。私も正直、そんな気分的な基準で大丈夫なのかな?と思いながらも、その“ときめき”を感じてみようかと手に取りました。そしてその“ときめき力”で片付けを済ませることが出来たら・・・。
本をはじめ、増え続けるものをどう処理していったら良いのか、どうしたら整理できるのか、そんなことを学びたくて手に取った次第であります。部屋のスペースは限られているけれど、物は油断をすると増えていく・・・。
単刀直入に言って、本書は、片付けや整理の本というよりは、「いかに捨てるか」というのがテーマで、ほぼ70~80%をそれが占めています。
正直、片付けの方法論を期待していた者にとっては肩すかしであり、物足りない内容でありますので、そういった具体的なたたみ方や整理の方法を知りたい方は別の本が宜しいかと思います。
そう言ってしまうともはや本書の存在意義はなくなります。
「ただ捨てるだけ」、ハイ終わり・・・では、わざわざこんな本を買う必要もありません。
しかし実際に捨てようとなると、いろいろと躊躇してしまって結局物を減らすことができなことが多いわけです。
故に、そもそも、その「捨てる」という行為にもまた技術が必要だ、というのが本書の趣旨であります。そして、自分の思いも含めて所有物を「捨てる」ことが出来たら、片付けの80%は完成したと言ってもいいくらいというのが著者の言いたいことで、その基準になるのが“ときめき”なのであります。
本書の面白いところは、著者自身がここまで来るまでの過程がつぶさに書いてあり、そこに、あるある感があるところや、片づけの壁にぶち当たってはくだけて這い上がる、這い上がってはまた様々な方法を考えるという、憔悴したり嬉々としたりというその感情の起伏やそれにも負けない強い情熱が結構笑えたりします。
片づけの方法論を期待して読みながらも、著者自信の笑える素直な姿が微笑ましい、そんな片づけエッセイとしても面白いかなと思います。
私自身、本書を読んで衣服とCDを整理・処分しました。
著者によれば、本当は一気に片付けを進めた方が良いのですが、なかなかそれは時間的に厳しいので、やれるところからやってみました。
やってみて、やっぱり著者の言う通り一気にやった方のが加速度がつきそうだなぁと言う(逆にいえば中途半端に終わってしまう)のは実感できましたので、今度は他の整理もやっていこうかなと思います。
本書の最終章では、片づけ・物を捨てることによる精神的な効用、人生的な効用が書かれていましたが、それがなかなかポジティブで前向きでありました。
「捨てる=物を大切にしない」という図式になりがちですが、そうではなく、逆に捨てることは、物との出会いをより深くする行為で、人生を大切に過ごすことにつながるということ。このポジティブな最終章は、新しい自分の人生に向かえる期待を抱かせてくれます。
人生が停滞していると感じている方、過去の自分と決別してみたい方、自分の人生を先に進めたい方にとって、何かのきっかけになるのではないでしょうか。
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- 作者: 近藤麻理恵
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2010/12/27
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