『傷つかない&傷つけない会話術』 津田秀樹著 マガジンハウス
精神科医や心理カウンセラーも使っている 傷つかない&傷つけない会話術 津田 秀樹,西村 鋭介 マガジンハウス 2010-09-16 売り上げランキング : 78816
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会話というのはとても難しい。
「話せば分る」と人はいうけれど、話しすぎてかえってこじれてしまうこともあるし、かといって何も話さないでいると、どんどんどんどん事態は悪化の一途を辿るということもあります。会話を通してコミュニケーションが取れるというのは、人間特有の優れた能力ではありますが、時にそれが邪魔をすることもあります。
また、話の適量をある程度は理解している人でも、不用意に要らぬことを言ってしまったり、ぐぐっと堪えておけばいいのにもかかわらず、わかっちゃいるけどつい口から出てしまって取り返しがつかなくなることもあります。私自身、小学校、中学校、そして大人になってからも、あの時どうしてあんなことを言ってしまったのだろうと苦々しく思い返す場面がたくさんあり、こころの中で申し訳なかったと相手の人の顔を思い出すことがしばしばです。
それだけ会話というのは奥が深く、一体全体どうしたら良いのだろうかと途方に暮れることがある。
この『傷つかない&傷つけない会話術』は、その難しい会話に、一つの解決方法を提示してくるものです。著者は心理学に詳しい方で、会話がどう成立しているかをとても分りやすく解説してくれています。
本書では、最初に間違った会話の例を掲げ、その後に間違った会話の、どこが間違いかを解説し、その後に訂正したものを載せています。つまり、本書はとても実践的な内容となっているところがためになるのです。
会話の本で具体的なものと言いますと、敬語の使い方や、話し方のコツなど、話し方教室のようなところで教えるものがほとんどだと思いますが、本書は、心理学をベースにしながら、会話で失敗しがちな心理的な要素を指摘し、具体的にそこの改善をはかるという、これまでにない画期的な内容となっています。惜しむらくは、もう少し一つ一つの解説に誌面を割いてほしかったかなとは思います。私は、著者の他の著書を読んでいるので、著者の言わんとする深いところも理解しやすかったのですが、これだけを読んだら、けっこうスルーしてしまうところもあるのではないかと思います。
心理学と会話というと、どことなく相手をコントロールするような、マインドコントロール的な会話術を思い浮かべる方もいるかと思いますが、本書はそういった類いのものではありません。あくまで会話の当事者がどうやったらうまく会話をし、無駄ないざこざを生まないように、そしてよりお互いが成長できるような会話ができるかというところを解説したものです。
会話はけっこう無意識に行われるキャッチボールみたいなところがあり、こういった本を一読しても、なかなか客観的に自分の会話を変えていくことは難しいところがあると思います。本書は、読みやすい故にこころに引っかからないまま読み進めてしまうところがあると思うので、自分の無意識に落とし込めるように、何度も繰り返し読むとよりよい気がします。同様に、著者が出している『ジーパンをはく中年は幸せになれない (アスキー新書)』も読んでおき、こちらも合せて何度も読んでみることをお薦めします。
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精神科医や心理カウンセラーも使っている 傷つかない&傷つけない会話術
- 作者: 津田秀樹,西村鋭介
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2010/09/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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