『人は、なぜ約束の時間に遅れるのか 素朴な疑問から考える「行動の原因」』 島宗 理著 光文社新書
人は、なぜ約束の時間に遅れるのか 素朴な疑問から考える「行動の原因」 (光文社新書) 島宗 理 光文社 2010-08-17 売り上げランキング : 12672
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はたまた行動分析学についての本をご紹介。
どうして行動分析学について知りたいかというと、問題解決に対して、より具体的な取り組みが出来る感じがするからです。自分の問題にしても、会社の問題にしても、問題の分析と、その分析に基づく実際の改善をすることが必要ですが、結局のところ明快な分析が出来ずに、問題解決の方法を間違えてしまうことも多々ありがちです。
例えば先日のサッカー日本代表アジアカップにおいて、日本は予選リーグを突破したものの、決勝リーグですぐに敗退してしまいました。この段階で敗退したのは5大会ぶりという有様です。
この状況の下、あるサッカー番組を観ていたら、「今の日本の代表に必要なものは?」という議題が出ました。するとあるサッカー解説者のパネリストの2人が、「個の力」を挙げていました。私はこれを見て、この二人が監督になったら、具体的な解決策は皆無なんだろうなと思いました。
といいますのは、「個の力」を問題にしたら、話はそこで止まってしまうからです。「個の力」に問題があるのであれば、海外の有力ストライカーを帰化させるとか、個の力を持った選手が出てくるまで待たなくてはいけません。それではいつまで経っても本当の決定力は生まれない。問題は、「個の力」を育てるために何が必要なのかという議論であって、「個の力」そのものは今すぐ変えようがないわけです。
と、話しがサッカー日本代表に及びすぎてしまうところでしたが、言いたかったことは、問題解決の糸口をどこに持ってくるかによって、全く対策が異なり、それが結果の善し悪しにもつながってくるということです。個別の問題に焦点を置きすぎると、より重要な全体の見直しが出来なくなるということです。
本書がいいのは、「視考術」といって、目に見えるかたちで問題の所在を洗い出し、そしてそこから解決に導こうとする、方法論が提示されていることです。これまで紹介した行動分析学の本が、割と一直線の一つの方向性だったのに対し、この本では、可能性のある方向性を拡げておく利便性があります。そういう意味では、こちらの方が、より具体的なのかもしれません。アイデアを出す方法論として、マインドマップというものがありますが、本書に出てくる「視考術」とは、あのマインドマップのシナプスのように広がっていく様相に、解決したらどうなるだろうという変化を加えた感じといったらいいでしょうか。
本書は、ある程度行動分析学の基礎知識があった上で読むと、本書の言いたいことが伝わりますし、理解が深まります。しかし、そういった基礎知識がないと、ちんぷんかんぷんとなります。よって、他の行動分析学の本を読んで、この学問が何のためにあるのかという基本は知っておくことをお薦めします。それがあれば、本書は、問題解決に悩んでいる方にとって、とても役に立つと思います。
人は、なぜ約束の時間に遅れるのか?素朴な疑問から考える「行動の原因」? (光文社新書)
- 作者: 島宗理
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2013/12/20
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