『続・一日一生』 酒井雄哉著 朝日新書
続・一日一生 (朝日新書) 酒井雄哉 朝日新聞出版 2014-03-13 売り上げランキング : 26271
|
この間、新幹線で大阪に行く用事がありました。日頃仕事でまとまった読書の時間を割けない私にとって、こういう移動の時間は読書に集中できる大事な一時。持っていく本には限りがあるのですが、その時の気分でいくつか持っていきます。この日は、東京・大阪間の往復で読み切れるものを一冊入れておこうと思って、本書をチョイス。
前作も読んでいるのですが、前作は非常に落ち込んでいるときに読んだので、とても感動しました。とても平易な文章ですが、一つ一つしっかりと心に刻み込まれました。今回も、その時のことを思い出し、そんなところも期待して読みたくなったのです。
しかし現在の私は、とくに落ち込んでいるわけではありません。でも、時々こういったものが読みたくなって、日々の糧にしたくなるところがあります。なんとなく、やっぱり、心がすり減ることがあるのか、欲するわけです。
本書は、前作同様にすぐに読めるだろう、そしていろいろな示唆を与えてくれるだろうと、新幹線の発射ベルが鳴ると同時に期待をして読み出しました。
その期待は外れることなく、あっという間に付箋だらけ。ことばが染み込んできます。日頃の小さなことに思い煩う必要は無い、今日一日を生き切ればいいではないか、と自分の心が素直に変わっていく気がします。長いようで短い、山もあれば谷もある、そんな人生を一歩一歩進もうじゃないか、と思いながらあっという間に読み切りました。
本書を読み終わった後、帰りの新幹線の車窓から、夜の闇に光る灯りを追いかけながらぼんやりとしていました。
今日一日、いろいろ考えることもあったけど、概ねいい感じだったかなぁと慰めのような気分で帰路につきました。
そして、家に帰って気がついたのです!
なんと、この大事な本を新幹線に忘れた!!
慌てて忘れ物窓口に電話をし、探してもらったのですが結局出てこず・・・。お気に入りのブックカバーも付けていたのに・・・。ううぅぅ・・・。
なんかすごく落ち込んで、なんてこった、ついてないなぁと思いました。
しかし・・・、あ、そうか、これでいいんだ・・・。
一つ荷物が減ったと思えばいいんだ。
この本のおかげで、心にあった重荷が一つ落ちたんだ。この本を読んだという事実も今日でおしまい。明日からまた新しい一日、新しい自分がはじまるのだ。無くなってよかったんだ、無くなって・・・。何をそんなに恐れていたのだろう、ぼくは。明日も一日一生と思って生きていけばいいだけなんだな。