『行動分析学入門―ヒトの行動の思い掛けない理由』 杉山尚子著 集英社新書
行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由 (集英社新書) 杉山 尚子 集英社 2005-09 売り上げランキング : 2443
|
あるとき、たまたま奥田健次氏の『メリットの法則 行動分析学・実践編』(集英社新書)を読みました。それについてはこのブログでも書きましたが、全面的にそれだけでいいのか?という疑問が残ったものの、これも一つの手法ということで、とても新鮮なものがありました。より実践的なもの、より具体的な方法論の模索という意味で、行動分析学は一つの指針作りに役立ってくれそうな感触があります。
奥田氏の『メリットの法則 行動分析学・実践編』のなかで、度々出てきた書名と著者が、本日冒頭に掲載したものです。杉山尚子氏と奥田健次氏がどういった間柄なのか分りませんが、奥田氏は杉山氏をかなりリスペクトし、そして自分の著書である『メリットの法則 行動分析学・実践編』が、杉山氏のこの本を踏まえた上での実践編であることを強調しています。つまり、杉山氏の著書があってこその自分の著書なのだというくらいの惚れ込みよう。それならば、杉山尚子氏の本も読まずにはいられません。
ということで、杉山尚子氏のこの本をチョイスしましたが、結果として奥田氏の本を読んだ後だからこそ、杉山尚子氏の本が理解することが出来たように思います。奥田氏のちょっとくだけながらも分りやすい言い回しで、行動分析学に特有な言葉や大まかな概念を把握することが出来ていたので、杉山氏の内容がよりよく理解できたのではないかと思います。ですので、もし行動分析学に興味があるのであれば、入門書としてこの2冊を用意し、奥田氏の著書→杉山氏の著書という順番で読むことをお薦めします。
そこで本書の内容なのですが、行動分析学というものがどういうものなのか、そして、どういった事象に対して応用が出来るのか、そういった基礎の基礎を、具体的な例を交えながら解説してくれています。
行動分析学では、私たちが行動をするときに、そこには必ず「随伴性」というものがあるといいます。ある行動を起した結果起こると予想されるメリット(好子)、デメリット(嫌子)を、意識下において判断してながら行動を起しているという、だからこそ、行動とその結果のつながりにこだわって分析することで、行動の改善が出来るのだ、というのが行動分析学の主張です。私などはそこには「心」や「性格」が介在していると思っているので、徹底したこの考え方に全て賛同するところまできていないのですが、それでも、ある面においてはこういった行動分析学の手法は、無駄な議論や、無用の批判を避けることが出来るので、一理あるものだと思います。
本書は、行動分析学の入門書です。最後に行動分析学の始祖であるスキナー氏についても少し詳しく言及されているのですが、それもまた興味深かったです。
行動分析学には、自分の行動はもちろんのこと、家族や会社などでの生活改善に役立つものがあるかと思います。一つの視点の確保として、読んでみることをお薦めいたします。
【その他の参考図書】
行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由 (集英社新書)
- 作者: 杉山尚子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/09
- メディア: 新書
- 購入: 22人 クリック: 193回
- この商品を含むブログ (75件) を見る