『ジョコビッチの生まれ変わる食事』 ノバク・ジョコビッチ著 タカ大丸翻訳 三五館
ジョコビッチの生まれ変わる食事 ノバク・ジョコビッチ 三五館 2015-03-21 売り上げランキング : 241
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私はテニスのことはほとんど何も知りませんが、現在絶対王者として君臨しているのがジョコビッチという選手だということは知っています。そして日本の錦織圭選手が追いつけそうで追いつけない、そういう一つ高いところにいる選手だということも認識しています。そんなジョコビッチ選手の本が出ているということを知り、しかもそれが食事に関する本だということであれば、テニスに対して門外漢の私でも興味が沸くというところ。テニス世界ランキング世界1位のジョコビッチ選手が、果たしてどんな食事をしているのか?しかも、タイトルには「生まれ変わる」という文字までついている。さて、それは一体何なのか?
本書の種明かしの一つをしてしまいますが、本書の内容の大きな支柱は、「グルテンフリー」というもの。
グルテンとは、小麦粉に含まれる成分で、小麦製品のモチモチとした食感を生みだすたんぱく質のこと。パンをはじめパスタやピザ、様々な食品でその弾力性が利用されるグルテンですが、そのグルテンに対して不耐症、つまりグルテンが大なり小なり身体の中でアレルギーを起している人が世の中には多いらしいのです。
そこでその原因である小麦のグルテンを摂るのを辞めよう、というのがグルテンフリーです。
例えば明らかにアレルギーとして症状が出るのであれば、小麦は避けるべきものとして常に意識に登って弾くことが出来ます。しかしそこまでの症状が出てなかったとしたら、普通においしく食べて、よもや自分にグルテンアレルギーが起きているなんて思いもしないでしょう。しかしもし小麦系の食事をした後に、激しい睡魔に襲われたり、どこか調子を崩したりするならば、それはもしかしたらグルテンアレルギーの可能性が無きにしも非ずなのです。明らかな激しい症状が出ていないだけで、実際にはグルテンが身体の中で炎症を引き起し、様々な機能不全を起しているということかもしれないのです。もしかして自分の人生が思う存分自分を出し切れていないという実感があったり、頭がぼーっとしたり、集中力が無くなるのは、それは自分の才能のなさではなく、意識に登らない程度の軽いけれども、とてつもなく人生を左右するくらいの大きなグルテンアレルギーのためなのかもしれません。
本書は、グルテンがどのように悪いかという科学的、理論的な解説はほとんどありません。ジョコビッチが最初に受けたテストも、オーリングテストのようなキネオロジー的なものだったようで、それが信憑性のあるテストなのかどうかは議論の余地があるかもしれません。
しかしそういった外野の意見に耳を傾けるよりも、ジョコビッチ選手の活躍そのものが、グルテンフリーの大切さを如実に現しているのであります。
小麦は、その生産や販売において、穀物メジャーという超巨大な企業が関わっており、莫大な利益を生む構造になっています。もしグルテンフリーということが常識になれば、きっとこういった企業は打撃を受けるであろうために、誰もそのことを指摘する人はいません。そこでこうして世界的な英雄が一石を投じることは、とても勇気がいることで、とてもインパクトなることではないでしょうか。サッカーのメッシも、大好きだったピザ断ちをしてから身体の切れが戻ってきたといいます。本書の中でジョコビッチ選手が何度も読者に問いかけるように、グルテンフリーの生活を先ずは14日間だけでもしてみる価値はあるのではと思います。
本書の前半は、ジョコビッチ選手の幼少から今日までの半生記となっています。過酷な内戦を経験したジョコビッチ選手が、どのような環境の中で練習を積み重ね、そしてそこから這い上がりトッププレイヤーに登り詰めたか。続くグルテンフリーのお話しももちろん価値があるかと思いますが、それと倶にこの半生記を読んでおくことで、平和のありがたさを実感できます。そこもまた本書を読む価値のひとつではないでしょうか。
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