グラシン紙をカバーにしてみる
最近私は古本を買うことも多いです。ブックオフなどの大きな古本屋に行くことも多いですが、時々神保町を散策したり、古本市みたいなものを覗いたりすることもあります。当然ながら古本に紙のカバーを付けてくれるところは少ないのですが、中には、気の利いたところは、薄い紙でカバーをしてある古本屋さんがあります。私はこの薄い紙が好きで、手触りもいいし、中身も見える。また、古本、特に新書や文庫などは表紙がへなへなになっているものも多いのですが、本を読むときにこのように表紙がへなへなですと、たいへん開きづらい。そこで、その問題を解消してくれるのが薄紙。その薄紙こそが、グラシン紙。このグラシン紙があるとないとでは読む時の快適さが全然違います。
さらに最近では、どうしても早く手に入れたい本などは、Amazonなどのネットで購入することが多いのですが、紙カバーサービスをしていないところがほとんどなので、このグラシン紙でカバーをするのは、本を保護するのにとても重宝します。しかも自分で丁寧にカバーをすれば、きっちりズレずにカバーを掛けられるので、なんだか気分もすっきりします。
わざわざカバーをするなんて、ちょっとめんどくさい感じもしますが、でも、そのちょっとしたひと手間が読書ライフを向上してくれる。
ということで、グラシン紙、お薦めです。
『生き方 - 人間として一番大切なこと』 稲森和夫著 サンマーク出版
生き方―人間として一番大切なこと 稲盛 和夫 サンマーク出版 2004-07 売り上げランキング : 106
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この間、遅くに帰ってとりあえずテレビを点けてみたら、NHKの番組に稲盛和夫氏が出演していました。ごく最近彼の主著である『生き方―人間として一番大切なこと』を読了していたので、これはタイムリーと思ってそのままテレビを見ていました。
以前に比べてお年も召してきたようで(そうはいっても同年の方に比べれば元気そうでありますが)、あまり稲盛氏の声に力を感じることはなく、正直なところ少し過去の人のように思えました。さらに加えて、この日の私は仕事が忙しく、頭もぼんやり疲れていたので、あまり稲盛氏の言葉が耳に届いてきませんでした。その代わりに、画面下のTwitterのつぶやきばかりがやたらと目に入っていました。
たいていこういう番組での取り扱いであれば、礼賛型のものが多いかと思うのですが、Twitterから流れる言葉のほとんどは、稲盛氏への批判や、同意できないという意見でした。正確に覚えているわけではありませんが、「生き方が多様化している中で、ひとつの生き方を強要するのはどうか」とか、「価値観は人それぞれ違うのだから、押し付けないでほしい」といった感じのものが多かったように思います。これはこれでライブ感があって、視聴者の正直な意見が聞こえてきて、いろんな感じ方をすることが大事なんだなと思ったりしました。
この番組では、視聴者からのつぶやきをキャスターやコメンテーターが取り上げたりするのですが、番組構成者にとっては意外だったのだろうか、礼賛型のつぶやきが少なかったために、ちょっとキャスターの方は慌てた感じがあり、ポジティブなつぶやきを取り上げるのに苦慮する表情が現れていました。コメンテーターの方は、最近たまにテレビで見かける若手経済学者で、イケメンで温和なようでいて、やんわり手厳しく指摘する安田洋佑氏、個人的には理路整然としていて明解なので好きです。安田氏は視聴者のつぶやきから、お茶の間の空気を読み取ったのか、その気持ちを汲み取りつつも、いつものようにやんわりと、「最近では“成功バイアス”といって、必ずしも成功体験だけを取り上げるのはよくないことではないかという批判も出ており・・・」ということを言いながら、稲盛氏一色になるのを牽制したように思います。
私はこの番組を観て、経営者って人気ないんだなぁと正直思いました。最近の経営者である堀江貴文などに比べると、稲盛氏は断然古めかしい部類に入る。カジュアルな服装でテレビに出てくる堀江氏に比べ、いかにもというスーツ姿でインタビューを受ける稲盛氏の姿は、やはり一昔前の感じがしてしまうのでしょうか。
『生き方―人間として一番大切なこと』を読んでまず驚いたのは、稲盛氏が理系出身、技術者出身だと言うこと。あのスーツ姿からすると、いかにも文系という感じがしていたのですが、そうじゃなかったのか・・・とちょっと見る目が変わっていきました。理系出身と言うことで、技術を大事にする姿勢が感じられました。
そのあたりの話しから、近年の経営者としての活躍を自ら語っているのですが、その語りの端々に、東洋的な哲学を感じることが出来ました。最終的には心が人を動かし、心を作ることが人生の目的なのだと、繰り返し繰り返し強調していきます。
あまりに繰り返されるので少々食傷気味だなと思って最終章に入りました。
正直その手前で既に満腹気味であったので、また同じだろうと流すつもりで最終章に入ったのですが、私はここを読んで急に腑に落ちたのです。自分の生き方というものを、もっと肯定してあげなくてはいけないなと思ったのです。日々の生活、日々の仕事の中で、ときどきどうして自分はこの仕事をしているのだろうと悩むこともあります。いつか卒業できるなら、卒業してみたい、そんな思いで乗れない日もあります。しかし、本書の最終章を読み、「あ、自分も多くの人々の中で、こうして自分の役割を演じているのか」と妙に合点がいったのです。他人を羨む必要もないし、他人と比較する必要もない、ただ自分という役割、鍼灸師という役割、そういった何か大きな力によって与えられたであろうこの役割を最期まで全うすることが先ずは大事なのだと、気持ちがふと定まった感じがありました。
アマゾンの書評を見ると、元京セラ社員の方らしき人からの投稿があり、必ずしも経営者としていい評価が出来るとは限らないようで、稲盛氏の本当の姿がどんなものかは知りませんが、良い役割も悪い役割も背負い込みながら歩いてきたのが稲盛氏にとっての人生の役割だったのだろうと思います。
【稲盛和夫氏のその他の著書】
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『台湾に行ったらこれ食べよう!』 台湾大好き編集部 誠文堂新光社
台湾行ったらこれ食べよう!: 地元っ子、旅のリピーターに聞きました。 台湾大好き編集部 誠文堂新光社 2015-02-12 売り上げランキング : 5809
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この間の11月4日、5日と臨時休業をさせていただきました。
今回臨時にいただいたお休みと祝日を併せて、台湾に行って参りました。
目的は、台湾の食事情など、薬膳がどのように親しまれているかを見てくるのが第一。私の嫁さんが去年、国際中医薬膳師の資格を取り、現在かなりの勢いで食養生の知識を吸収しており、我が鍼灸院でも食事のアドバイスなどに少しずつ協力してもらっております。
そうしますと、だんだんと現地はどうなっているのだろうと興味津々になってきまして、それでは台湾に行ってみようか?という話になりました。患者様にはご迷惑をおかけいたしましたが、こういったことも大切なので・・・などと自己弁護しつつ。
今回の旅は2泊3日という短いものでした。そのため旅は台北に限られましたが、それでも十分に台湾を肌に感じながら、そして胃袋にも台湾を感じることが出来ました。
台湾はこんな風に、街のあちこちに軽く食べられるようなお店がたくさんあります。中には十全大補湯を使ったスープなど、漢方の生薬を使ったごはんがとても安い値段(300円~400円)で気軽に食べることが出来ます。ちょっと寒気がするなぁとか、ちょっと疲れたなぁというときなど、こういった生薬の入ったものを簡単に食べることが出来るわけです。日本だと疲れた時は栄養ドリンクですが、台湾は食事で摂ることが出来るのですから、とてもパワフルであります。
今回台湾を旅するにあたり、やはりガイドブックは必要だろうと何冊か購入しました。
まず自分はバックパッカーをしていた頃から『地球の歩き方』を使っていたので、自分用にはそれを。
そして嫁さんが選んだのが、冒頭の『台湾行ったらこれ食べよう!: 地元っ子、旅のリピーターに聞きました。』というもの。写真がとても印象的で、文章はガイドブックというよりもエッセイ風。ガイドブックにしては実用には向かないのでは?とも思ったのですが、それでも、写真もいいし、ちょっとした蔵書のアクセントにもお洒落であるような、一冊本棚に入っていても悪くない。むしろなんだか気になってしまう、そんな一冊で購入。
実際このエッセイ集のような、フォトブックのようなガイドブックはかなり役に立ちしました。とりあえずどこに入ってもいいのですが、この本がいいのは、代表的な台湾の料理、といっても高級なものではなく、肩ひじ張らずに街の中で気軽に楽しめるごはんが出ているところがよく、旅の道中持ち歩いてとても役に立ちました。実際に旅のプランを立てるにしても、この本に出ているごはんを中心にしながら町歩きのルートを作ってもいいくらいではないでしょうか。
台湾に何度もいっている方にも使えそうな、旅のお供、そして写真を楽しむような、開いて楽しくなる一冊です。台湾旅行のご予定がある方にお薦めです。
【その他購入して良かったもの】
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台湾行ったらこれ食べよう!: 地元っ子、旅のリピーターに聞きました。
- 作者: 台湾大好き編集部
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2015/02/12
- メディア: 単行本
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『ジョコビッチの生まれ変わる食事』 ノバク・ジョコビッチ著 タカ大丸翻訳 三五館
ジョコビッチの生まれ変わる食事 ノバク・ジョコビッチ 三五館 2015-03-21 売り上げランキング : 241
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私はテニスのことはほとんど何も知りませんが、現在絶対王者として君臨しているのがジョコビッチという選手だということは知っています。そして日本の錦織圭選手が追いつけそうで追いつけない、そういう一つ高いところにいる選手だということも認識しています。そんなジョコビッチ選手の本が出ているということを知り、しかもそれが食事に関する本だということであれば、テニスに対して門外漢の私でも興味が沸くというところ。テニス世界ランキング世界1位のジョコビッチ選手が、果たしてどんな食事をしているのか?しかも、タイトルには「生まれ変わる」という文字までついている。さて、それは一体何なのか?
本書の種明かしの一つをしてしまいますが、本書の内容の大きな支柱は、「グルテンフリー」というもの。
グルテンとは、小麦粉に含まれる成分で、小麦製品のモチモチとした食感を生みだすたんぱく質のこと。パンをはじめパスタやピザ、様々な食品でその弾力性が利用されるグルテンですが、そのグルテンに対して不耐症、つまりグルテンが大なり小なり身体の中でアレルギーを起している人が世の中には多いらしいのです。
そこでその原因である小麦のグルテンを摂るのを辞めよう、というのがグルテンフリーです。
例えば明らかにアレルギーとして症状が出るのであれば、小麦は避けるべきものとして常に意識に登って弾くことが出来ます。しかしそこまでの症状が出てなかったとしたら、普通においしく食べて、よもや自分にグルテンアレルギーが起きているなんて思いもしないでしょう。しかしもし小麦系の食事をした後に、激しい睡魔に襲われたり、どこか調子を崩したりするならば、それはもしかしたらグルテンアレルギーの可能性が無きにしも非ずなのです。明らかな激しい症状が出ていないだけで、実際にはグルテンが身体の中で炎症を引き起し、様々な機能不全を起しているということかもしれないのです。もしかして自分の人生が思う存分自分を出し切れていないという実感があったり、頭がぼーっとしたり、集中力が無くなるのは、それは自分の才能のなさではなく、意識に登らない程度の軽いけれども、とてつもなく人生を左右するくらいの大きなグルテンアレルギーのためなのかもしれません。
本書は、グルテンがどのように悪いかという科学的、理論的な解説はほとんどありません。ジョコビッチが最初に受けたテストも、オーリングテストのようなキネオロジー的なものだったようで、それが信憑性のあるテストなのかどうかは議論の余地があるかもしれません。
しかしそういった外野の意見に耳を傾けるよりも、ジョコビッチ選手の活躍そのものが、グルテンフリーの大切さを如実に現しているのであります。
小麦は、その生産や販売において、穀物メジャーという超巨大な企業が関わっており、莫大な利益を生む構造になっています。もしグルテンフリーということが常識になれば、きっとこういった企業は打撃を受けるであろうために、誰もそのことを指摘する人はいません。そこでこうして世界的な英雄が一石を投じることは、とても勇気がいることで、とてもインパクトなることではないでしょうか。サッカーのメッシも、大好きだったピザ断ちをしてから身体の切れが戻ってきたといいます。本書の中でジョコビッチ選手が何度も読者に問いかけるように、グルテンフリーの生活を先ずは14日間だけでもしてみる価値はあるのではと思います。
本書の前半は、ジョコビッチ選手の幼少から今日までの半生記となっています。過酷な内戦を経験したジョコビッチ選手が、どのような環境の中で練習を積み重ね、そしてそこから這い上がりトッププレイヤーに登り詰めたか。続くグルテンフリーのお話しももちろん価値があるかと思いますが、それと倶にこの半生記を読んでおくことで、平和のありがたさを実感できます。そこもまた本書を読む価値のひとつではないでしょうか。
【グルテンフリーに関する他の参考図書】
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『叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本』 奥田健次著 大和書房
叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本 奥田 健次 大和書房 2011-12-24 売り上げランキング : 2707
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行きすぎた体罰が定期的にニュースになって報道されます。その度に、体罰の是非が問われ、それをネタに討論する番組があったりもします。また、古いところではスポーツ=しごきのようなイメージのこともまだ多いようで、以前は「尾藤スマイル」と称された箕島高校の尾藤監督の笑顔などは、しかつめらしい顔をした監督が多い中で、伸び伸び野球の代名詞として珍しく捉えられていました。打って変わって今は若い監督を中心に、監督も選手も笑顔で野球をやっているところが多くなっているようですが、厳しい指導がいいのか、笑顔がいいのか、これもまたそれぞれ議論が分かれるようです。
鍼灸院で小児鍼をしていると、様々な親子にお目にかかることになります。元気いっぱいのお子さん、元気が有り余っているお子さん、とても聞き分けのいい子、しっかりと自分のことを伝えようとする子などなど、ほんとうに小さい子供は個性が豊かで、それを前面に押し出して、こちらもそのエネルギーに圧倒されるほどです。私はその個性が大人になって消えないように、それぞれがそのまま大きくなったらパワフルでいい社会になるような気がしますので、それぞれのパワーを尊重して接するようにしています。
しかし中には、「この子は言うことを聞かないんですよねぇ~」とつぶやいたり、「ほら、鍼治療をするよ、ゲームは辞めて!」とお子さんを強く諫める親御さんがいらっしゃいます。
私は鍼灸施術者として接しているわけで、教育者でもありませんし、ほんの何十分かの滞在時間ですので、そういった教育的指導について、何かアドバイスをしようにも正直そこまで的確なケアが出来ないことがあります。また、それぞれの家族には、それぞれの方針がありますので、そこに口出しをすることはその否定にもつながりますので、静観するしかありません。それでもやっぱり、アドバイスを求められる時がありますので、私も喧々諤々、誉める教育がいいのか、厳しく叱る教育がいいのか、改めて考えてみることが多くあります。
本書はその一つの解決策として、「誉める教育」あるいは「叱らない教育」というものをモットーにしたもの。著者の根底には、「行動分析学」という心理学の一つの学問があるわけですが、これをベースに、どう接したらいいかという内容が基本になっています。
行動分析学とは、人の心や情緒とか、性格とかは無視して、外に現れている行動様式のみを分析の対象にしていきます。ですので、お子さんが何を思ったとか、何を考えたとか、そういったことは念頭に置きません。そのため、どこかドライな感じがしてしまいます。それ故に、最初から嫌悪感を覚えるかもしれません。しかしまず最初に治したいのは行動です。その行動の延長に一人の人間の自立があるのであれば、情緒や心がとかいう前に、行動そのものを変えていく手立てを踏むことが先決であります。その方法論を伝えようとするのが本書と言うことになります。
本書が必要な方は、情緒や心の成長を重視しすぎるがあまり、子供の意思を尊重しすぎて自由気ままにさせてしまい、子供が我儘放題になってしまったご家族ではないかと思います。家族の主導権が完全に子供に移ってしまい、それに振り回されてしまっている、そういった方にお薦めです。中途半端に子供に主導権を渡すのではなく、しっかりと大人が主導権を持つこと、それは体罰ではなく、誉めること、ルールを決めてそれに従うようにしていくことで可能となることを解説しています。本書だけではなかなか理解できないところもありますので、先ずは下にある他の参考書を読むことをおすすめします。
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